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V03N03-01
自然言語処理技術は,単一文の解析等に関しては一定の水準に到達し,文の生成技術を統合して幾つかの機械翻訳システムが商用化されて久しい.このような段階に達した現在においては,従来,問題とされてきた形態素解析や構文解析とは異なる以下のような課題が現れてきている.自然言語処理システムは求められる分析性能が向上するにつれて,そのシステムで用いる言語知識ベース(文法規則や辞書データ)も次第に複雑化,巨大化してきた.ひとたび実働したシステムも,利用者が使い込むことによって既存の分析性能では扱えない言語現象への対応に迫られる.利用者が増えるに従って新たな分析性能が要求される.一方,自然言語処理システムを用いる応用分野はますます多様化することが予想さ...
V14N03-11
テキスト対話における対話者の情緒\footnote{心理学ではemotionの訳語に「情緒」や「情動」を用いる.emotionは,feeling(訳語は「感情」)より狭い意味である.本稿では,機械処理の立場から\cite{徳久&岡田98}にならい,「情緒」という用語を用いる.}を分析する上で,情緒タグ付きテキスト対話コーパスが必要とされている.通常,言語表現と話者の情緒との間には,必ずしも直接的な対応関係が存在するとは限らず,多義が存在する場合が多いため,対話文に内包された情緒を言語表現のみによって正しく判定することは難しい.したがって,音声や表情などの言語外情報が欠けているテキスト対話に対して,情緒のタグを付与しようとすると,付与...
V23N01-05
\begin{table}[b]\caption{2014年度代ゼミセンター模試(第1回)に対する得点と偏差値}\label{tab:intro:2014}\input{05table01.txt}\end{table}「ロボットは東大に入れるか」(以下,「東ロボ」)は国立情報学研究所を中心とする長期プロジェクトである.同プロジェクトは,AI技術の総合的ベンチマークとして大学入試試験問題に挑戦することを通じ,自然言語処理を含む種々の知的情報処理技術の再統合および新たな課題の発見と解決を目指している.プロジェクトの公式目標は2016年度に大学入試センター試験において高得点を挙げ,2021年度に東大2次試験合格レベルに達することである....
V06N01-01
日本語対話文における格要素の省略補完について述べる。主語や目的語などの表示が義務的でない日本語の言語処理においては、これら省略される\footnote{そもそも省略ではなく非存在とする解釈もあるが、ここでは格要素が明示されていないものすべてを「省略」と呼び、本論文の研究対象とする。}格要素を補う処理が重要である。格要素の省略は日本語に特有の現象ではなく、例えば韓国語、中国語などにも認められる。これら省略のある言語から英語やドイツ語など必須格を持つ言語への翻訳処理を行なう際には、補完処理(省略内容の推定処理)は重要な処理となる。また情報検索など、自然言語処理に関係する他の問題においても、省略補完処理は必要となる。省略された内容は、言語...
V24N01-04
インターネットを通じたサービス利用はスマートフォンの普及を背景に近年ますます増加している\cite{ictbook2014}.スマートフォンでの各種サービスの利用はこれまでのPCを経由して利用するインターネットサービスに比べて,画面の大きさや操作性という面で大きく制限されており,サービス提供者はスマートフォンに合わせたユーザ体験を新たに構築する必要に迫られている.このような背景の中で推薦システムに注目が集まっている.推薦システムはユーザの興味関心に合わせて商品などを提示することを目的としたシステムであり,Amazon\footnote{http://www.amazon.com/}での商品推薦や,Facebook\footnote{...
V23N02-01
\textbf{系列アラインメント}とは,2つの系列が与えられたときに,その構成要素間の対応関係を求めることをいう.系列アラインメントは特にバイオインフォマティクスにおいてDNAやRNAの解析のために広く用いられているが,自然言語処理においてもさまざまな課題が系列アラインメントに帰着することで解かれている.代表的な課題として\textbf{対訳文アラインメント}\cite{moore02:_fast,braune10:_improv,quan-kit-song:2013:ACL2013}があげられる.対訳文アラインメントは対訳関係にある文書対が与えられたときに,文書対の中から対訳関係にある文のペアをすべて見つけるタスクである.統計的...
V21N02-01
\label{sec:Introduction}近年,コーパスアノテーションはますます多様化し,多層アノテーションを統合的に利用する仕組みが欠かせない.たとえば,話し言葉の言語学的・工学的研究で広く用いられている『日本語話し言葉コーパス』\cite{前川_2004_日本語}のコアデータでは,音韻・単語・韻律単位・文節・節を含む10種類あまりの単位に関してさまざまなアノテーションがなされている.また,最近では視線・頷きやジェスチャーなどの非言語情報を含むマルチモーダルコーパスの開発が進んでおり\cite<たとえば>{Carletta_2007_UTK,Chen_2006_VMM,Den_2007_SAT,角_2011_マルチ,Waib...
V31N04-12
BERT\cite{devlin-etal-2019-bert}に代表される\emph{事前学習済みモデル(Pre-trainedModels)}の躍進は,自然言語処理領域に大規模なコーパスでの事前学習と下流タスクでのファインチューニングからなる新しい枠組みをもたらしている\cite{Zhou2023-en,Zhao2023-hy}.BERTの後続として,異なるアーキテクチャ(GPT-2\cite{Radford2019LanguageMA}やT5\cite{JMLR:v21:20-074})や事前学習手法の改善({RoBERTa}\cite{Liu2019-vu}や{DeBERTa}\cite{he2021deberta})などが...
V06N02-07
\vspace{-2mm}テキスト音声合成システムの言語処理部における重要な課題の一つに,ポーズ挿入処理が挙げられる.ポーズ挿入処理は,音声化され,出力されたテキストの内容を人間が感覚的,意味的に捉えやすくするために,テキスト中の適当な位置に適当な長さのポーズを与える,テキスト音声合成に必須の技術であり,入力テキストの書き手が意識して挿入した句読点以外にも構文構造とポーズ挿入位置の関係が研究されてきた.従来の研究から,ポーズは構文的区切りと一致する\cite{杉藤1988},また特定の句構造\mbox{において}ポーズが挿入され易い\cite{海木1996}という知見が得られている.この他にも,文節間の係り受け距離と文節の長さが,ポ...
V17N04-06
近年の音声合成技術の進歩により合成音声によるカーナビのガイダンスやパソコンによるテキストの読み上げなど様々な場面で合成音声が聞かれるようになった.また,Webを読み上げるための取り組みが進められており,Webコンテンツを音声に変換するための議論がなされている\cite{SOUMU,Guidance,Dialogue}.音声合成の分野においては従来からTTS(Text-to-Speech)\cite{MITalk,TTS}により電子化されたテキストを音声に変換する試みがなされてきた.メール,電子図書,Webページに至るまで様々なテキストを合成音声によって流暢に朗読する仕組みが検討されている.そして近年では,テキストに制御タグを挿入して...
V29N02-05
\label{sec:intro}日本語文は,通常,漢字や平仮名,片仮名,算用数字などの文字種により構成されるが,幼児向け書籍や外国人日本語初学者による作文などにおいて,平仮名のみで書かれる文も多々存在する.本論文では,平仮名のみで書かれた日本語文(以下,平仮名文)に対する形態素解析について述べる.これまでに,日本語形態素解析器として,JUMAN\cite{juman},ChaSen\cite{chasen},MeCab\footnote{\url{https://taku910.github.io/mecab/}}\cite{kudo-etal-2004-applying},KyTea\footnote{\url{http://w...
V22N05-04
述語項構造は,文章内の述語とその項の間の関係を規定する構造である.例えば次の文,\eenumsentence{\item[][太郎]は[手紙]を{書い}た。}では,「書く」という表現が述語であり,「太郎」と「手紙」という表現がこの述語の項である.述語と項の間の関係は,それぞれの項に,述語に対する役割を表すラベルを付与することで表現される.役割のラベルは解析に用いる意味論に応じて異なるが,例えば表層格を用いた解析では,上記の「太郎」には「ガ格」,「手紙」には「ヲ格」のラベルが与えられる.このように,文章中の要素を述語との関係によって構造的に整理する事で,複雑な文構造・文章構造を持った文章において「誰が,何を,どうした」のような文章理解...
V16N01-01
label{sec:first}係り受け解析は日本語解析の重要な基本技術の一つとして認識されており,これまでに様々な手法が提案されてきた\cite{Kurohashi:94,SShirai:95,fujio_97,haruno,uchimoto_99,uchimoto_2000,kudo_2000,Kudo:2002,matsubara,Kudo:2004,Kawahara:naacl2006,Ohno:coling-acl2006}.しかし,そのほとんどは書き言葉を対象としたものであった.これに対し,本研究では,話し言葉,特に『日本語話し言葉コーパス(CSJ)\cite{furui}』のような長い独話を対象とする.ここでCSJとは...
V31N03-16
\label{sec:introduction}日本語敬語は,同じ内容を人物関係や場面に応じて表現形式を使い分ける待遇表現の一種であり,具体的には敬意や配慮を表現するための上向きの待遇表現であるとされる\cite{kijutsu2009japanese}.敬語の使用には,適切な文法規則の適用と背景にある人物間の関係への理解の両方が求められる\cite{harada1976honorifics}.日本語敬語のうち,文脈情報に応じて名詞・動詞・形容詞を規則に応じて変化させる尊敬語や謙譲語が存在する.ここで,文脈情報としては,次の例が示すように,話者,聞き手,会話に登場する人々の間の社会的な関係についての情報がある.\begin{exe}...
V24N01-03
\label{sec:introduction}機械翻訳システムの性能向上や大量のコーパスを伴なう翻訳メモリなどの導入により,機械支援翻訳(CAT)が広く行われるようになってきている.その一方で,翻訳の対象となる文書の内容が専門的である場合,その分野特有の専門用語や定型表現に関する対訳辞書が必要となる.そうした辞書を人手で作成することはコストが高いため,あらかじめ翻訳された対訳コーパスから専門用語や定型表現の対訳を自動抽出する研究が盛んである\cite{Matsumoto00}.しかし,自動抽出の結果は必ずしも正確ではなく,間違った対訳表現を抽出したり,対訳表現の一部だけを抽出する場合がある.また,一つの語に対して複数の対訳表現を抽...
V31N03-11
社会の少子高齢化進行に伴い不足する労働人口を補うため,産業界だけでなく,介護といった家庭における支援においてもロボットの活用が進められている\cite{Toyota-ARSO2013}.このような家庭における汎用生活支援ロボットは,あらかじめ決められた作業を行う産業用ロボットとは異なり,人間と対話などの言語を用いたインタラクションにより協働する能力が求められる\cite{taniguchi-2019-survey}.人間との共同作業を伴う対話においては物体への参照表現が頻出する.例えば他人に料理を手伝ってもらう場面では,「まな板の上の人参を切っておいて」や「お皿を運んで」など,材料や食器が頻繁に参照される.ロボットがこのような参照表...
V26N02-06
登場人物(キャラクタ)は小説,コミック,アニメ,ドラマ,映画などの物語世界における重要な構成要素の一つであり,ライトノベルのように「キャラクタ中心の物語」(メイナード2012)\nocite{maynard:2012}すら存在する.近年は,ユーザの命令に従ってタスクを実行したり,会話をしたりする対話エージェントにおいても,エージェントのキャラクタが重視されるようになり,マイクロソフトの「りんな」\footnote{https://www.rinna.jp/}をはじめとして,特定のキャラクタを冠した対話エージェントが数多く作られている\footnote{https://www.nttdocomo.co.jp/service/shabe...
V22N05-03
\label{sec_intro}近年,ブログ等の個人が自由に情報を発信できる環境の爆発的な普及に伴い,膨大なテキスト情報がWeb上に加速度的に蓄積され,利用できるようになってきている.これらの情報を整理し,そこから有益な情報を得るためには,「誰が」「いつ」「どこで」「何を」といった情報を認識するだけでなく,文に記述されている事象が,実際に起こったことなのかそうでないことなのかという情報を解析する必要がある.我々はこのような,文中の事象に対する,著者や文中の登場人物による成否の判断を表す情報を事実性と呼ぶ.\eenumsentence{\item[a.]\underline{\mbox{商品Aを使い}}始めた。\item[b.]\u...
V07N03-04
日本語とウイグル語は言語学上の区分において,共に膠着語に分類され,両言語の間には語順がほぼ同じであるなどの様々な構文的類似点が見られる.そのため,日本語--ウイグル語機械翻訳では,形態素解析が終了した段階で各単語を対応するウイグル語に置き換える,いわゆる逐語翻訳によって,ある程度の翻訳が可能となる\cite{MUHTAR}.ところで,学校文法をはじめとする多くの日本語文法では,文の中心的役割を果たす動詞が活用することを前提としている.しかし,ウイグル語の動詞は活用しないと考えられてきたため,両言語間の翻訳の際には,活用の有無の違いを考慮する必要があった.それに対して,\cite{MUHTAR}は推移グラフの利用を提案したが,実際の処...
V02N03-04
自然言語には定型表現と呼ばれる単語間の共起性が強い表現が数多く存在する.定型表現を収集,整理しておくことは言語学的な観点からも機械処理の観点からも有益である.例えば「目を盗む」や「かたずを飲む」などの慣用表現は,その表現の意味が個々の構成語の意味からは作り出すことができない\cite{miyaji}.このために,機械処理ではそれら表現に例外的な処理を施す必要がある.また言語学的にも語の持つ意味の標準的用法と非標準的用法の境界を考察する上で,このような表現を網羅的に収集することが望まれる.また慣用表現ではなくとも,「に関して」「も少なくない」「て欲しい」などの定型表現では個々の構成語に分割して処理するよりも予め一語として捉えていた方が...
V18N03-03
\label{sec:intro}SemEval-2010において,日本語の語義曖昧性解消タスクが行われた\cite{SemEval2:JWSD}.本タスクは,コーパス中に出現する対象語に対し,辞書で定義された語義のうち適切な語義を推定することが課題である.日本語を対象とした類似のタスクとしては,2001年に開催されたSENSEVAL-2の日本語辞書タスクがあげられる.ただし,SENSEVAL-2における日本語辞書タスクとは,2つの点で大きく異なっている.すなわち,対象コーパスの分野が多岐にわたる点,および,辞書に定義されていない語義が出現することもあるという点で異なっている.語義曖昧性解消は,非常に古くから取り組まれてきている課題...
V10N01-06
自然言語処理を進める上で,形態素解析器をはじめとする言語解析器は,コーパスなどの言語資源と同様に最も重要な道具である.近年では,この重要性は研究者間でほぼ認識されており,英語や日本語に対する形態素解析器と構文解析器はいずれも複数のものが作成,そして公開または市販され,我々研究者はその恩恵に預かっている.ところが,中国語に関しては以上の状況は同じではない.我々の知る限り,日本国内はもちろん,中国においても誰もが手軽に使える中国語解析器が研究者の間で広範に知られている,という状況にはなく,まだ十分に解析器が整備されているとは言えない.この背景の一つは,中国語解析の困難性であると考える.中国語は英語のように概ね単語ごとに分かち書きされては...
V17N01-03
形態素解析は,文を形態素列に分割し,各形態素に品詞をタグ付けするタスクである.形態素解析は自然言語処理における基盤技術であり,構文解析や情報検索といった応用を実現するうえで高い精度の達成が不可欠となる.日本語の形態素解析では,あらかじめ定義された辞書を用いる手法が高い精度を達成している~\cite{Kurohashi1994full,浅原正幸:2002,Kudo2004full}.この手法では,入力文は辞書引きにより得られた形態素のラティスに展開され,ラティス中の最適なパスが出力として選択される.しかし,辞書に基づく形態素解析には,辞書にない形態素({\bf未知語})の解析を誤りやすいという問題がある.例えば,形態素解析器JUMAN...
V21N02-09
label{intro}近年,言語研究において,言語現象を統計的に捉えるため,コーパスを用いた研究が盛んに行われている.コーパスを用いた研究は,語法,文法,文体に関する研究\cite{oishi2009,koiso2009},語彙に関する研究\cite{tanomura2010},時代ごとの言語変化を調査する通時的な研究\cite{kondo2012},外国語教育へ適用する研究\cite{nakajo2006}など多岐にわたる.コーパスを用いる研究では,新しい言語現象を調査するには新しいコーパスの構築が必要となる.大規模なコーパスを構築する場合,人手でのアノテーションには限界があるため,自動でアノテーションをする必要がある.既存の言...
V14N01-05
label{sec:Introduction}参照表現の生成は自然言語処理の重要なタスクの1つであり~\cite{BD2003},多くの研究者により様々な手法が提案されてきた~\cite{DA1985,RD1991,RD1992,RD1995,EK2002,EK2003}.参照表現生成に関する従来の研究は,主に対象物体固有の属性と他の物体との関係を扱ってきた.ただし,他の物体との関係は2項関係のみである.そのため従来の手法では,指示すべき物体とその他の物体との間に外見的特徴の差異が少なく,他の物体との2項関係も弁別の用を成さない状況において,適切な参照表現を生成することができない.ここで適切な参照表現とは,自然で過度な冗長性のない表...
V30N02-13
label{1}自治体による政策の改善には,都市で暮らす市民の意見を収集し,反映させることが重要となる.また,接客業のサービスの質を向上させるためにも,店員の接客に対する批評や,提供している商品の評価等の意見を反映させることが重要となる.これらの背景から,著者らの先行研究\cite{Ishida2022}では,特定の都市の市民によるTwitter\footnote{\url{https://twitter.com}}のつぶやきから,分析対象の市民意見を自動抽出するためのフレームワークを提案した.このフレームワークでは,人手で作成した市民意見分析コーパスを教師データとして,BERT\cite{bert}を用いたマルチタスク学習モデルを...
V20N05-02
\label{sec:intro}情報抽出や文書要約の分野において情報の可視化を目的として,テキスト中に出現する事象表現の表す事象が発生した時区間\modified{(TimeInterval)}を時間軸\modified{(Timeline)}上に写像することが行われている.このため\modified{には},テキスト中に出現する時間情報表現の正規化(時間軸への写像)のみならず,対象となる「文書作成日時と事象表現」や「時間情報表現と事象表現」,「二つの事象表現」間の時間的順序関係を付与することが必要になる.\modified{英語においては哲学者・言語学者・人工知能研究者・言語処理研究者が協力して時間情報を含む言語資源の整備を進め...
V31N02-11
自然言語処理において単語同士の上位下位関係や同義関係,類義関係等の意味知識を獲得することは機械翻訳や質問応答等の技術を開発する上で重要な課題である\cite{Article_01}.意味知識を獲得するのにあたり,膨大な語が存在する中から手動で知識を獲得するのは困難であり知識獲得の自動化が行われてきた.日本語ではこれまでにWikipediaの構造情報,他言語記事の情報(呉他2011;山田他2011)\nocite{Article_02,Article_03}やWWW上に存在するHTML文書の構造情報\cite{Article_04}から上位下位関係を獲得する手法や,航空といった特定分野\cite{Article_05}やシステムの要求...
V03N02-02
インターネット上の電子ニュース(以下,ネットニュースと記す)は,誰もが自由に記事を投稿することができ,それがそのまま広く配布されるという特徴を持った,新しいマスメディアである.情報発信者が限られている従来のマスメディア(新聞,ラジオ,テレビ)と比べ,情報発信の機会を広くに解放した点で,ネットニュースはマスメディアの新しい可能性を開いたが,逆に,情報発信者の拡大による情報の洪水と情報(テキスト)品質の多様化という新しい現象を引き起こしつつある.このため,求める情報を簡単に見つけることができなくなりつつある.我々は,この問題を解決する方策として,ダイジェストに注目している\cite{Madoka-master-94,Madoka-ips...
V07N04-09
人と人,または人と計算機が音声を介してコミュニケーションを行なう際に必要となる音声対話処理における頑健性を議論する.例えば,音声を入力としてこれを翻訳し音声出力する音声翻訳などが本論文の想定する対象である.音声対話処理においては,不明瞭な発声や雑音,音声認識処理部の誤りに起因する誤りによって,言語処理部に対して誤りのない正確な入力が得られない場合があり,この結果従来の自然言語処理では問題とならなかった入力の不正確性が生じる.これに対し,従来行なわれてきた言語処理研究の主眼は,\vspace*{\baselineskip}\begin{itemize}\item如何にして入力の不正確性を除去するか\end{itemize}\vspac...
V10N02-04
\label{sec:hajime}実際に使用された文例を集めたコーパスは,コンピュータによって検索できる形で準備されることにより,自然言語の研究者にとって便利で重要な資料として利用価値が高まっている.コーパスの種類としては,文例のみを集めた生コーパス(新聞記事など多数がある),文例を単語分けして品詞情報などを付加したタグ付きコーパス(ここでは{\bf品詞タグ付きコーパス}と呼ぶ),さらに文の構文情報を付加した解析済みコーパス\cite{EDR2001}\cite{KyouDai1997}の三種類に分類される.付加情報を持つコーパスは,特にコンピュータによる自然語情報処理において重視されている.しかし,その作成には,対象言語の知識を...
V06N06-04
\label{section:intro}日本のテレビ番組における字幕付き放送の割合は10\%程度と低く,近年,字幕放送率向上を目指し,自然言語処理技術を応用した効率的な字幕生成が切望されている\cite{EharaAndSawamuraAndWakaoAndAbeAndShirai1997}.番組の音声情報を字幕化するには,文章を適度な長さに要約する必要があるため,本研究では,ニュース原稿(テキスト)を入力とした,字幕生成のための自動要約を試みた.本要約手法では,ニュース文の特徴を利用し,1文ごとの要約を行っている.テキスト自動要約研究の多くは,テキスト中の文もしくは文のまとまりを1単位とし,何らかの情報に基づき重要度を決定,抽出...
V27N01-05
辞書は言葉に関するさまざまな特徴を集積したものである.発音・形態論情報・品詞・単語分類・統語情報・意味情報・位相・語源・語釈などにより整理される.単語の使用実態に基づく言葉の特徴として{\bf単語親密度}がある.単語親密度は,人々がどのくらいその単語を知っているのか・使うのかといった,人の主観的な評価に基づく指標である.NTTコミュニーケーション科学基礎研究所による『日本語の語彙特性』\cite{Amano-1999}は,単語親密度を含む情報を『新明解国語辞典第四版』の見出し項目約80,000語について付与した.また同データは朝日新聞の1985年から1998年の14年分の記事データにおける頻度情報も含む.しかしながら,評定情報の収集...
V28N02-07
ニューラル機械翻訳(NeuralMachineTranslation,NMT)の発展\shortcite{luong:2015:emnlp,vaswani:2017:nips}により,ニュース記事のような文体の整った入力に対する翻訳品質は著しく向上し,一部の言語対においては既に人間の翻訳に匹敵するレベルにまで到達したと言われている\shortcite{hassan:2018,barrault:2019:wmt}.しかし,そのめざましい発展をもってしても,ソーシャルメディアに見られるようなユーザ生成コンテンツ(User-GeneratedContents,UGC)に対するNMTの適用可能性は依然として極めて限られている\shortci...
V31N03-04
人間は,小説を読む際,そこに出てくるセリフが誰のセリフなのかを理解しながら読み進めることができる.これは,テキスト中に,話者を特定する手がかりが十分に与えられているからである.代表的な手がかりとして,次のものがある.\begin{enumerate}\itemセリフの前後の地の文において,『Aは言った』のような形式で,話者が明記される\item連続するセリフでは,話者が交替する(話者交替)\itemセリフの口調や発話内容から,話者が特定できる\end{enumerate}これらの手がかりのうち,どの手がかりが多く与えられるかは,個々の小説によって異なる.たとえば,英語の小説\textit{PrideandPrejudice}では,前...
V27N04-08
我々は文章を読解する際,単語や句,節,文などを単独の表現として読解するのではなく,周辺の表現との意味的なつながりを理解しながら読み進めている.このようなつながりを談話関係と呼び,談話関係を解析するタスクを談話関係解析と呼ぶ.具体例を示す.\ex.\label{ex:sample}\begin{enumerate}\renewcommand{\labelenumi}{(\roman{enumi})}\item恐ろしいほど雨が降っていたせいで,\item昨日は外出できなかった.\item一昨日の天気予報では降らないと言ってたんだけどなぁ.\end{enumerate}例\ref{ex:sample}の(i)と(ii)は「雨が降っていたの...
V15N05-02
\label{sec:intro}言語横断情報検索や言語横断質問応答,機械翻訳などの2つの言語に関わる処理を実現するには,その言語対に対する大規模対訳辞書などの言語横断言語資源が必要である.情報流通技術の発達に伴って,様々な言語で記述された情報を活用することが可能となりつつあり,複数言語を対象とする自然言語処理技術はますます重要な課題となることが予想される.しかし,世界には数多くの言語が存在するため,あらゆる言語対を対象として豊富な言語資源を整備することは,非現実的である.現実には,需要の大きい一部の言語対については大規模な言語資源が利用できるが,それ以外の多くの言語対については,小規模な対訳辞書しか利用できない場合が多い.もし,新...
V15N03-03
質問応答技術は自然言語によって表現された質問に文書でなく情報そのもので回答する事を可能とするもので,情報アクセスの新しい形として期待されている\cite{Voorhees00}.事実に関する独立した質問に一問一答形式で回答するものを中心に研究が始められたが,近年は様々な面で研究の展開が見られ,そのひとつに対話性の重視があげられる.質問応答技術を牽引してきたといってよいTREC\cite{Voorhees05,TREC}では,TREC2001において対話的な利用を前提とした文脈処理の能力を評価する試みがなされている\cite{Voorhees01}.その後,TREC2004から,相互に独立した質問ではなく,あるトピックに関する一連の質...
V12N03-05
label{intro}照応現象に関する理論のうち,最も広く論じられているのは中心化理論(centeringtheory)である.中心化理論は,注意の中心,照応,結束性の間の相互作用を説明している.しかし,照応現象等の背後にある基本原理を明らかにするものではない.もし中心化理論の背後に何らかの基本原理が存在するならば,それは談話における発話者と受話者の行動決定を説明する原理であろう.その基本原理は,客観的に計量可能な尺度に基づいて述べられるべきである.しかし,中心化理論において重要な役割を担っている顕現性(salience)という概念は,客観的に計量可能な尺度として定式化されていない.顕現性とは,人間の注意状態に関連する何らかの尺度...
V13N04-03
\label{sec:intro}我々の物の理解の仕方に関する知識は多くの自然言語処理タスクにおいて重要である.物をどのような観点から理解するかということを述べる{\bf属性}の知識はその一つである.例えば,「車」の属性は「重量」,「エンジン」,「ハンドル」,「操作感」,「製造会社」などである.言い換えれば,属性とは,我々があるものについて知りたいときにそれに対する値(本論文の言い方では,「答え」)が知りたくなるような項目である.従って,属性知識の応用としては,情報の要約\cite{yoshida_wda,yoshida_ai2004_en},質問応答\cite{Fleischman_2003,takahashi_2004}などが考...
V08N03-02
label{hajime}一般に,手話言語は視覚言語としての側面を持つ.この視覚言語としての特性の一つは,音声言語が単語を線条的に配列し.文を構成するのに対して,単語を空間的かつ同時的に配列することで文を構成できる点である\cite{Baker1980}.また,単語の語構成においても,例えば,右手で「男」を示し,左手で「女」を同時的に空間に配置し,両手を左右から近付けることで「結婚」を,逆に「結婚」の手話表現を示し,両手を左右に引き離すことで「離婚」を表現している.すなわち,音声言語に比べて,単語を造語する際の{\gt写像性}({\iticonicity})が高い言語であると捉えることができる.また,手話単語の造語法の特徴には,この...
V09N02-03
本論文では,コーパスから事象間の関係を抽出する問題において,事象間の一対多関係を推定する問題を取り上げた.コーパスから事象間の関係を推定する場合,それらの事象は共起出現することに基づく推定を行うことが多い.しかし,そこで用いられている手法は暗黙のうちに,推定する関係が一対一関係であると想定しているものがほとんどである.しかし抽出すべき事象間の関係は一対一関係であるとは限らず,あらかじめ関係が一対多関係であることがわかっている場合もある.このような場合,これまでの一対一関係を前提とした手法が有効であるかどうかは明らかではない.一方,データベースにおいて連想規則を抽出する問題において,その規則が表す事象間の関係が一対多関係であることを考...
V17N01-07
\label{sec:introduction}形態素解析や構文解析など自然言語処理の要素技術は成熟しつつあり,言語理解のために意味解析・談話解析といった,より高次な言語処理の研究が盛んになりつつある.特に文の意味理解のためには「誰が」「何を」「誰に」「どうした」といった要素を同定することが重要である.「誰が」「何を」「誰に」といった名詞は\textbf{項}と呼ばれ,「どうした」のような動詞を中心とした\textbf{述語}によって結びつけられる.動詞や形容詞といった述語を対象とした項構造解析は\textbf{述語項構造解析}と呼ばれ,FrameNetやPropBankといった述語項構造解析に対する資源の整備や\cite{gild...
V14N01-06
\label{sec:intro}{\bfseries機能表現}とは,「にあたって」や「をめぐって」のように,2つ以上の語から構成され,全体として1つの機能的な意味をもつ表現である.一方,この機能表現に対して,それと同一表記をとり,内容的な意味をもつ表現が存在することがある.例えば,\strref{ex:niatatte-F}と\strref{ex:niatatte-C}には,「にあたって」という表記の表現が共通して現れている.\begin{example}\item出発する\kern0pt\uline{にあたって},荷物をチェックした\label{ex:niatatte-F}\itemボールは,壁\kern0pt\uline{にあ...
V08N04-01
本論文では,{\bf了解}の語用論的な分析を行う.語用論的な分析を可能にするために言語行為論の拡張を行い,それに基づいて{\bf了解}の分析を行う.了解の類義語として理解・納得などがある.理解は比較的浅い了解,納得は比較的深い了解を指すものであり,これらは了解の一形態である.本論文では,\begin{enumerate}\item一般に使われている了解\item理解\item納得\end{enumerate}\noindentのすべてを包含する用語として,{\bf了解}を用いることとする.了解は,様々な形態で顕現しうる.我々は,了解の顕現形態を図\ref{response}のように分類・定義する.すなわち,主として言語一文節による了...
V26N01-03
近年,ソーシャルニュースサイトや討論ポータルの発展に伴い,様々な話題がオンライン上で議論されるようになった.これら議論は世の中の貴重な意見を含んでいるが,分析には関連する複数の投稿・発言の内容を理解する必要がある.これまでも対話行為の分析\cite{Stolcke2000,Bunt2010}を発展させ,議論を談話行為に基づいて分析するアプローチが提案されてきた.議論における談話行為の自動的な分類は,情報アクセスや要約の改善に寄与できると考えられている.このため,電子メール\cite{Cohen2004,Carvalho2005,Carvalho2006,Hu2009,Omuya2013},ニュースグループ\cite{Wang2007...
V26N02-07
\label{sect:introduction}日本語の構文解析は,標準的に文節間の依存関係により構成される構造「文節依存構造」(あるいは,文節係り受け構造)に基づいて行われてきた.特に,CaboCha~\cite{Kudo:2002:CoNLL}やKNP~\cite{Kawahara:2006:HLTNAACL}に代表される文節依存構造に基づく解析器は高い解析精度を実現して広範に利用され,日本語の自然言語処理全般の発展に大きく寄与してきた.しかしながら,文節依存構造による構文構造の表現には,2つの問題点があることが指摘されている~\cite{Butler:2012:ANLP,Tanaka:2013:SPMRL}.一つは依存構造の...
V17N01-02
\label{sec:introduction}現在では,ウェブ上の文書をはじめとして,多種多様な文書に簡単にアクセスすることができる.ニュースやブログの記事にはさまざまな出来事が記述され,その中には数多くの地名が含まれている.地名等の固有名詞は辞書未登録語であることが多く,文書の自動処理における未知語処理の問題の主因の一つとなっている.地名は,人名や組織名等の他の固有名詞と比べてその要素に変動が少なく,詳細な辞書の作成が可能という特徴がある.地名については,地図作成や郵便業務等のため,どの国でも詳細な辞書が存在するため,これを利用することでその地名に付随する国や場所等の属性を得ることが可能である.しかし,文書中に出現する地名はその...
V15N02-04
\label{sec:intro}言い換えとは,ある言語表現を意味が等価な別の言語表現に変換する処理のことである.自然言語処理においては,言い換えはさまざまな応用をもっており,例えば,情報検索,機械翻訳,文章作成支援,文章読解支援などに応用されることが期待されている.\begin{table}[b]\caption{日本語表現の分類}\label{tab:classWord}\input{04table01.txt}\end{table}\begin{figure}[b]\begin{center}\includegraphics{15-2ia4f1.eps}\caption{内容表現の言い換えと機能表現の言い換えを組み合わせた幅広...
V09N03-07
近年,テキスト自動要約の研究が活発化するとともに,要約の評価方法が研究分野内の重要な検討課題の一つとして認識されてきている.これまで提案されてきた要約の評価方法は,内的な(intrinsic)評価と外的な(extrinsic)評価の2種類に分けることができる\cite{Sparck-Jones:1996}.内的な評価とは,システムの出力した要約そのものを,主に内容と読みやすさの2つの側面から評価する方法である.一方,外的な評価とは,要約を利用して人間がタスクを行う場合の,タスクの達成率が間接的に要約の評価となるという考え方に基づいて評価を行う方法である.本研究では,近年活発にその評価方法が議論され,改良が試みられている内的な評価,特...
V29N03-07
修辞構造理論\cite{mann-etal-1987-rhetorical}は文書中のテキストスパン(後述するEDUの系列)間の関係を木構造で表現する理論である.\blfootnote{本稿はConferenceoftheNorthAmericanChapteroftheAssociationforComputationalLinguistics(NAACL2021)での発表ImprovingNeuralRSTParsingModelwithSilverAgreementSubtrees\cite{kobayashi-etal-2021-improving}に加筆を行ったものである.}修辞構造理論によると,文書は,木の最小構成単位と...
V10N04-06
\label{sec:intro}\thispagestyle{empty}機械翻訳,言語横断的な検索や要約など複数の言語を同時に扱うシステムにおいて対訳辞書は必要不可欠であり,その品質がシステム全体の性能を左右する.これらに用いられる対訳辞書は現在,人手によって作成されることが多い.しかし,人手による作成には限界があり,品質を向上するためには膨大な労力が必要であること,辞書の記述の一貫性を保つことが困難であることが問題となる.このことからコーパスから自動的に対訳辞書を作成しようとする研究が近年盛んに行われている~\cite{tanaka_96,kitamura_97,melamed_97,yamamoto_01,kaji_01}....
V17N02-02
\label{sec:first}情報抽出や機械翻訳などのNLPの応用処理への需要が高まる中で,その技術を実現するための中核的な要素技術となる照応・共参照と述語項構造の解析に関して多くの研究者が解析技術を向上させてきた.それらの技術の多くは各情報が付与されたコーパス(以後,タグ付与コーパス)を訓練用データとして教師あり手法を用いるやり方が一般的であり,解析の対象となるコーパス作成の方法論についても議論がなされてきた\cite{Hirschman:97,Kingsbury:02,Doddington:04}.照応・共参照解析については,主に英語を対象にいくつかのタグ付与のスキーマが提案されており,実際にそのスキーマに従ったコーパスが作...
V25N02-01
\label{s:introduction}機械翻訳システムでより多くの文を対象に翻訳精度を維持したい場合,その量に応じた大きさの語彙をシステムが取り扱う必要がある.語彙サイズは様々な機械翻訳手法の性能や効率に影響を及ぼすが,特に近年活発に研究されているニューラル翻訳モデル\cite{encdec}では,語彙サイズの増加に伴う影響が顕著である.図\ref{fig:nmt}はエンコーダ(Encoder:符号化器),デコーダ(Decoder:復号器)および注意機構(Attention)と呼ばれる個々のネットワーク構造からなる翻訳モデル\cite{bahdanau14,luong15}であり,ニューラル翻訳モデルとして典型的に使用される構...
V07N05-05
\label{sec:introduction}我々は,1998年10月から自然言語解析用ツール「MSLRパーザ・ツールキット」を公開している~\footnote{{\tthttp://tanaka-www.cs.titech.ac.jp/pub/mslr/}}.MSLRパーザ(MorphologicalandSyntacticLRparser)は,一般化LR法の解析アルゴリズムを拡張し,単語区切りのない言語(日本語など)を主に対象とし,形態素解析と構文解析を同時に行うパーザである\footnote{MSLRパーザは,分かち書きされた文(英語文など)を解析する機能も持っているが,もともとは単語区切りのない文を解析することを目的に作ら...
V29N02-02
固有表現抽出(NER)は,人名,組織名,化学物質名,日付や時間といった固有名詞や数値表現を抽出するタスクであり,関係抽出\cite{zhou-etal-2016-attention,DBLP:journals/corr/abs-1905-08284,shen-huang-2016-attention,wang-etal-2016-relation}やエンティティリンキング\cite{ganea-hofmann-2017-deep,le-titov-2018-improving,radhakrishnan-etal-2018-elden,DBLP:journals/corr/abs-1802-01021,DBLP:journals/c...
V11N02-03
音声認識研究の対象は、読み上げ音声から講演や会議などの話し言葉に移行している。このような話し言葉は日本語では特に、文章に用いる書き言葉と大きく異なり可読性がよくない。そのため、書き起こしや音声認識結果を講演録や議事録などのアーカイブとして二次利用する際には、文章として適切な形態に整形する必要がある。実際に講演録や議事録の作成の際には、人手によりそのような整形が行われている。これまでに、放送ニュースなどを対象とした自動要約の研究が行われている\cite{98-NL-126-10,98-NL-126-9,SP96-28,99-SLP-29-18,SP2000-116}。これらは主に、頻出区間や重要語句の抽出といった処理、つまり発話された...
V15N01-04
近年,コンピュータを含め,機械は我々の生活・社会と密接に関与し,必要不可欠な存在となっている.そのため,機械の目指すべき姿は「人と共存する機械(ロボット)」だと言えるだろう.この夢は,二足歩行ができる,走ることができる,踊ることができるなど,身体能力に長けたロボット\cite{HumanRobot1999}\cite{RoBolution2001}が数多く開発されたことにより,その一部が実現されつつある.今後,機械が真に「人と共存」するためには,優れた身体能力を持った機械に「知能」を持たせ,人間と自然な会話を行う能力が必要になる.機械が人間を主体としたスマートな会話を行うことにより,人と機械の円滑なコミュニケーションが可能となる.そ...
V14N04-03
\label{はじめに}言語処理技術を利用した文章の推敲や校正の支援に関する研究が行われている.この研究分野を次の5段階に分けて考える.\begin{description}\item[表記レベル]誤字の検出と修正,表記揺れの指摘など.\item[統語レベル]統語構造の複雑さに起因する読みづらさの指摘など.\item[意味レベル1]欠落した格要素の推定や,照応先の特定が困難な場合の指摘.\item[意味レベル2]情報不足(論理の飛躍や説明が不足しているもの),情報過多(表現が冗長)の指摘.\item[文脈・構成レベル]文間のつながりに関する理解しづらさの指摘.文の構成による論旨の展開についての指摘など.\end{descriptio...
V10N02-06
近年,情報化社会の進展と共に大量の電子化された文書情報の中から,自分が必要とする文書情報を効率良く検索することの必要性が高まり,従来のKW検索に加えて,全文検索,ベクトル空間法による検索,内容検索,意味的類似性検索など,さまざまな文書検索技術の研究が盛んである.その中で,文書中の単語を基底とする特性ベクトルによって文書の意味的類似性を表現するベクトル空間法は,利用者が検索要求を例文で与える方法であり,KW検索方式に比べて検索条件が具体的に表現されるため,検索精度が良い方法として注目されている.しかし,従来のベクトル空間法は,多数の単語を基底に用いるため,類似度計算にコストがかかることや,検索要求文に含まれる単語数が少ないとベクトルが...
V06N02-03
近年,連続音声認識において,N-gram言語モデルによる言語制約を用いた手法が幅広く用いられている.N-gramは,大規模なテキストデータを統計的に解析し,直前の{\itN-1}個の単語から次の単語への遷移を確率的に与える非常に単純な言語モデルである.しかし,その構築・実装の容易さ,統計的音響モデルとの相性の良さ,認識率向上や計算時間の短縮の効果が大きい等の理由から,連続音声認識にはでは盛んに用いられている\cite{Bahl}\cite{Woodland}.N-gramは当初,英語の連続音声認識に対して適用され,その有効性が示された.英語の文章は,単語がスペースで区切られており,テキストデータから単語を単位としたN-gramが容易...
V30N01-04
\label{sec:intro}高性能な言語理解モデルを開発するためには,言語理解の能力を様々な観点から評価し分析するためのベンチマーク(データセット群)が必要である.英語においては,GLUE(GeneralLanguageUnderstandingEvaluation)\cite{wang-etal-2018-glue}が構築,公開されている.GLUEである程度の高スコアを達成できる言語理解モデルが開発されると,より難易度の高いベンチマークとしてSuperGLUE\cite{NEURIPS2019_4496bf24}などが構築され,ベンチマーク構築と言語理解モデル開発の好循環が生まれている.このような英語における言語理解研究活性...
V30N02-15
\label{sec:intro}複数の言語のテキストで学習したマルチリンガル事前学習モデルは,\pagebreak言語横断転移学習のタスクなどで高い性能を発揮しており\cite{conneau-etal-2020-unsupervised},これはモデルが異なる言語にわたって共有できる知識を学習していることを示している.タスクを解くために役立つ言語の知識には,単語などの語彙に関する知識もあれば,文法に関する知識もある.ここで言う文法とは,外国語学習に見られるような具体的な文法事項というよりは,ニューラルネットワークが,トークンの系列から情報を集約して,タスクを解くために必要な「意味」を導き出す内部処理のことを指す.このニューラルネ...
V32N01-03
\label{section:intro}メタファー(隠喩)とは「のような」といった直接的な例えの表現を伴わない比喩表現である.メタファーは日常のテキストにおいて頻繁に出現することから,多くの研究が行われている.例えば,認知言語学の分野ではLakoffとJohnsonによる研究\cite{mwlb}が代表的である.そこでは,メタファーは単なる言葉の綾でなく人間の認知を大きく反映する重要な機能である,と指摘されている.具体例として以下の2つの例を挙げる.\begin{exe}\exHe\textit{attacked}weakpointsinmyargument.\label{ex:attack}\exYoucan't\textit{...
V14N01-04
キーワード抽出は情報検索に不可欠な技術の一つであり,現在,多様なキーワード抽出法が提案されている.その手法では,辞書を用いて形態素解析を行う方法\cite{Nakagawa1997}が一般的であるが,辞書を全く用いない方法\cite{TakedaAndUmemura2001}もある.辞書を用いて形態素解析を行う方法は,辞書に登録されていない語(未知語)の処理を考えなければならない.これは,未知語の存在がキーワード抽出の性能に悪い影響を与えるからである.したがって,日々増え続ける新しい未知語に対して,対処法を講じる必要がある.一方,辞書を一切用いずに,コーパスにおける文字列の統計量を元にキーワードを獲得する手法がある.文献\cite{...
V13N04-02
確率的言語モデルは,文字列を出力とする言語処理において幅広く用いられている.音声認識システム\cite{Self-Organized.Language.Modeling.for.Speech.Recognition}の多くが,解選択において,音響モデルとともに確率的言語モデルを参照する.文字誤り訂正\cite{Context-Based.Spelling.Correction.for.Japanese.OCR}や仮名漢字変換\cite{確率的モデルによる仮名漢字変換}においても,確率的言語モデルを用いる方法が提案されている.さらに,機械翻訳\cite{A.Statistical.Approach.to.Machine.Transla...
V13N03-10
敬語は日本語の重要な特徴の一つとされており,日本語の敬語は単に依頼,要求あるいは人を示す代名詞において見られるだけでなく,言語体系,及び言語行動のほぼ全般にわたって発達している.このような特徴を持つ言語は日本語以外では,韓国語,チベット語,及びジャワ語等世界中に少数しか見られない\cite{Hayashi1974}.ところが現代の日本社会において,日本語の敬語に関する様々な誤用が指摘されてきている\cite{Kikuchi1997,Ishino1986}.日本社会における敬語の誤用は,言語によるコミュニケーションを通じた社会的人間関係の構築を妨げる場合がある.特にビジネスの場面における敬語の誤用は,時として円滑なビジネスを進める上で...
V29N04-04
\label{sec:introduction}科学は再現性の危機に瀕している.生化学や生命科学などの薬品を用いた化学実験を行う研究分野においては,75\%から80\%以上の研究者が他の研究者の実験結果を再現することができなかった経験があると報告している\cite{baker2016nature}.化学実験で再現性を担保する上で鍵となるのがプロトコルである.プロトコルは人がある実験を再現するために必要な操作を時系列順に記述した文書である(\figref{fig:overview}).プロトコルには,試薬や装置などの操作対象の物体名と,対応する操作方法が動詞で,実験を再現するのに必要十分な記述がされている\footnote{自明である...
V10N05-02
\label{one}近年,音声認識技術や言語処理技術,計算機の処理能力の向上により,情報検索をはじめとする各種タスクを音声認識を介して実現する音声対話インタフェースへの期待が急速に高まっている\cite{NielsenAndBaekgaard1992,Godden1994,Zue1994,ZeiglerAndMazor1995,Godden1996,FergusonAndAllen1998,Nakano1999}.同時に,音声対話インタフェース実現のための対話制御方式も数多く提案されている\cite{Niimi1995a,Niimi1995b,Niimi1997,Niimi1998,KikuchiAndShirai2000,Chu...
V24N01-05
製品やサービスを提供する多くの企業は顧客の問い合わせに対応するために,コールセンターを運営している.コールセンターでは,オペレータが電話やメールによる顧客問い合わせに対応する際や,顧客自身が答えを探す際の支援のために,FrequentlyAskedQuestion(FAQ)の整備および,FAQ検索システムを導入していることが多い.FAQ検索の利用者は,自然文や単語の集合を検索クエリとして,検索を実施するのが一般的である.しかし,FAQは過去の問い合わせ履歴の中から,同様の質問をまとめ,それらを代表するような抽象的な表現で作成されることが多いため,類義語や同義語,表記の揺れといった問題により,正しく検索できない場合がある.たとえば,以...
V08N02-03
人間はあいまいな情報を受け取り適宜に解釈して適切に会話を進めることができる.これは,人間が長年にわたって蓄積してきた,言語やその基本となる語概念に関する「常識」を持っているからである.すなわち,ある単語から概念を想起し,さらに,その概念に関係のある様々な概念を連想できる能力が重要な役割を果たしていると考えられる.本研究の前提とする「常識的判断」とは,「女性−婦人」,「山−丘」などは同義・類義の関係,「山−川」,「夕焼け−赤い」などは密な関係,「山−机」,「電車−空」などは疎な関係であると判断するなど,語と語の意味的関係について,コンピュータにも人間の常識的な感覚に近い判断をさせることをねらうものである.このような常識的判断を可能とす...
V24N01-01
日本は,2007年に高齢化率が21.5\%となり「超高齢社会」になった\cite{no1}.世界的に見ても,高齢者人口は今後も増加すると予想されており,認知症治療や独居高齢者の孤独死が大きな問題となっている.また,若い世代においても,学校でのいじめや会社でのストレスなどにより精神状態を崩すといった問題が起きている.このような問題を防ぐ手段として,カウンセリングや傾聴が有効であると言われている\cite{no2}.しかし,高齢者の介護職は人手不足であり,また,家庭内においても,身近に,かつ,気軽に傾聴してもらえる人がいるとは限らない.このような背景のもと,本論文では,音声対話ロボットのための傾聴対話システムを提案する.我々は,介護施設...
V24N04-04
\label{sec-introduction}さまざまな種類のテキストや,音声認識結果が機械翻訳されるようになってきている.しかし,すべてのドメインのデータにおいて,適切に翻訳できる機械翻訳器の実現はいまだ困難であり,翻訳対象ドメインを絞りこむ必要がある.対象ドメインの翻訳品質を向上させるには,学習データ(対訳文)を大量に収集し,翻訳器を訓練するのが確実である.しかし,多数のドメインについて,対訳文を大量に収集することはコスト的に困難であるため,他のドメインの学習データを用いて対象ドメインの翻訳品質を向上させるドメイン適応技術が研究されている\cite{foster-kuhn:2007:WMT,foster-goutte-kuhn...
V30N04-03
\label{sec:intro}近年,深層学習に基づく言語モデルは左右の文脈から単語の穴埋めをしたり\cite{devlin-etal-2019-bert},テキストからテキストを生成したり\cite{Raffel2020t5},次に続く単語を予測したり\cite{BrownGPT3NEURIPS2020_1457c0d6}して訓練することで,多くの自然言語処理タスクにおいて高性能を出せるような汎用的な表現を得ることができる.また,このようなモデルを元にファインチューニングを行うことで,数量推論のような複雑な処理が必要だと思われる問題においてもある程度高い性能を出せることが知られている\cite{geva-etal-2020-in...
V08N03-05
\label{sec:introduction}よく知られているように,人間が英語を日本語に翻訳するとき,英語の代名詞を日本語の代名詞としては表現せず,ゼロ代名詞化したり他の表現に置き換えたりすることが多い.これに対して,従来の英日機械翻訳システムでは,多くの場合,英語の代名詞はそのまま日本語の代名詞に訳される.このように代名詞を直訳すると,英文が伝えている意味と異なる意味を伝える訳文が生成されたり,文意は同じでも不自然で読みにくい訳文が生成されてしまうという問題が生じる.従って,品質の高い英日機械翻訳システムを実現するためには,ゼロ代名詞化する必要のある代名詞や他の表現に置き換えるべき代名詞を直訳しないようにすることが重要な課題と...
V26N01-01
\label{sec:intro}Universal\Dependencies\(UD)\\cite{mcdonald:2013}は,言語間で共通のアノテーション方式を用いて多言語の構文構造コーパス(ツリーバンク)を開発する国際プロジェクトである.多言語の構文構造コーパスを構築する試みはこれまでにも行われているが,言語ごとに独自のアノテーション方式(アノテーション対象,タグ,ラベルなど)が定義されていた\cite{hajivc-EtAl:2009:CoNLL-2009-ST}.UDは全ての言語で共通のアノテーション方式を用いるため,異なる言語間の構文的対応関係が明示的に記述される.したがって,多言語構文解析器の開発,構文解析器を用い...
V31N03-08
\label{section:introduction}近年,ニューラルネットワークをベースとした対話システム(以下,ニューラル対話システム)の発話生成の性能は著しく向上している\cite{brown2020language,ouyang2022training,glaese2022improving}.しかし,ユーザと対話をすること自体が目的である「非タスク指向型対話(雑談)」に関する研究では,ニューラル対話システムが受動的な発話を生成する傾向があるという問題が指摘されているなど\cite{akasaki:naacl2019:conversation-initiation,wu2019proactiveGuideTargetKG,...
V21N02-03
\label{sc:introduction}近年,Webを情報源として,人間の情報分析や情報信憑性判断などの支援を目的としたシステム開発に関する研究が行われている\cite{Akamine2009,Akamine2010,Ennals2010,Finn2001,Kaneko2009,Miyazaki2009,Murakami2010,Shibuki2010,Shibuki2013,Kato2010,Kawai2011,Matsumoto2009,Nakano2011,Fujii2008,Yamamoto2010}.このようなシステムの開発においては,そもそも,どのような情報を提示することが効果的な支援につながるか,また,そのために...
V16N04-02
近年,コロケーションの研究は自然言語処理及びコーパス言語学において盛んになっている.このコロケーションの一種である遠隔共起\footnote{本稿では,あるテクストにおいて,語と他の言語的要素が同時に出現する現象を「共起」と呼ぶ.情報処理およびコーパス言語学において,同じような意味で「コロケーション」という用語も利用される.文末モダリティ形式との共起は語と文法範疇の共起とも考えられ,そのような語と文法範疇の共起は「コリゲーション」という用語を使用することがある.それに対して,語と語の共起は「コロケーション」と呼ばれる\cite{IshikawaBook}.本章では,両方の現象を「共起」という用語で扱う.「遠隔共起」というのは離れた位...
V31N02-16
label{sec:introduction}近年,BERT\cite{devlin-2019-bert}をはじめとする,Transformer\cite{vaswani-2017-transformer}に基づく事前学習済み言語モデルが,様々なダウンストリームタスクにおいて優れた性能を発揮している.これらのモデルのタスクにおける性能をより高める主な手法として,事前学習における大規模なコーパスの使用や学習ステップ数の増加,およびドメイン適応の研究が行われている.一般的に,事前学習における大規模なコーパスの使用や学習ステップ数の増加によって,モデルの性能は向上する.Liuら\cite{liu-2019-roberta}は,RoBERT...
V09N01-06
自然言語処理の最大の問題点は,言語表現の構造と意味の多様性にある.機械翻訳の品質に関する分析結果(麻野間ほか1999)によれば,従来の機械翻訳において,期待されるほどの翻訳品質が得られない最大の原因は,第1に,動詞や名詞に対する訳語選択が適切でないこと,第2に,文の構造が正しく解析できないことであると言われている.ところで,日本語表現で,訳語選択と文の構造解析を共に難しくしている問題の一つとして,「もの」,「こと」,「の」などの抽象名詞の意味と用法の問題がある.抽象名詞は,高度に抽象化された実体概念を表す言葉で,話者が,対象を具体的な名詞で表現できないような場合や明確にしたくないような場合にも使用される傾向を持ち,その意味と用法は多...
V14N04-01
\label{intro}近年,自然言語処理の分野では,大規模な言語資源を利用した統計的手法が研究の中心となっている.特に,構文木付きコーパスは,統計的手法に基づく言語処理の高性能化のためだけでなく,言語学や言語処理研究の基本データとしても貴重な資源である.そのため,大規模な構文木付きコーパスの作成が必要となっている.しかし,大規模な構文木付きコーパスを全て人手により作成することは,多大なコストを必要とするため困難である.一方,現在の構文解析の精度では,構文木の付与を完全に自動化することが難しい.現実的には,構文解析器の出力から人手によって正しい構文木を選択し,それを文に付与することが望ましい.コーパス作成中には,文法や品詞体系の変...
V16N02-02
英語教育の現場でもICT(InformationandCommunicationTechnology)の活用により様々な取り組みがなされている.近年ではE-learningのように学習者が教科書ではなく,まずはコンピュータ端末に向かうような形態での学習環境も一部で行われている.しかし大学を含め,CALL教室などが未整備となっている教育機関は少なくない.またE-learningのための教材作成が英語教育に直接関係する教師自身によって行われることは現実的にはほとんどなく,先進的な取り組みを行っている教育機関などにおいても既存のコースウェアが利用される場合が多い.教室で接する学習者のために教員自らがオーサリングソフトなどを利用して積極的に...
V31N02-09
ソーシャルメディアでの感情分析\cite{poria2019emotion}や感情的かつ共感的な対話システムの構築\cite{majumder2020mime}を目的として対話における発話の感情認識(ERC:EmotionRecognitioninConversations)が注目を集めている.先行研究として,再帰型ニューラルネットワークを用いて発話の内容を利用する手法\cite{abdul-mageed-ungar-2017-emonet}や,事前学習済みBERT(BidirectionalEncoderRepresentationsfromTransformers)モデル\cite{devlin2018bert}を用いて発話の内...
V30N02-07
日本語では数量表現が多様な形で現れる.例えば,以下の3つの文は,形式は異なるが,いずれも同じ真理条件を持つ.\begin{exe}\ex\label{ex:1}学生が3人いる.\ex\label{ex:2}3人の学生がいる.\ex\label{ex:3}3名の学生がいる.\end{exe}(\ref{ex:1})と(\ref{ex:2})では,文中において数量表現が現れる位置が異なっており,(\ref{ex:2})と(\ref{ex:3})では助数辞が異なっている.こうした数量表現の出現形式や助数辞の多様性は,日本語の重要な特徴の一つであり,後述するように言語学での記述的・理論的研究が近年進んでいる.しかし,これまでのところ,これら...
V02N01-01
\label{sec:hajime}機械翻訳システムを使用する時,利用者はシステム辞書に登録されていない単語や,登録されているが,訳語が不適切な単語に対して,利用者辞書を作成して使用することが多い\cite{Carbonell:1992}.しかし,辞書に新しく単語を登録する際は,登録する語の見出し語,訳語の他に,文法的,意味的な種々の情報を付与する必要がある.高い翻訳品質を狙ったシステムほど,利用者辞書にも詳細で正確な情報を必要としており\cite{Ikehara:1993,Utsuro:1992},素人の利用者がそれらの情報を正しく付与するのは簡単でない\footnote{単語意味属性を付与するには,通常のシステムの意味属性を理解...
V10N03-06
\label{sec:introduction}単語の多義性解消は自然言語処理の重要な基本技術のひとつとして認識されている.単語の多義性というのは,例えば,「買う」という単語について「本を買う」と「反感を買う」とでは意味が違うというように,同じ単語でも文脈によって意味の違いがあるという性質のことを言う.そして,その意味の違いのことを単語の多義と言う.単語の多義は細かく定義すればきりがない.したがって,多義をどこまで区別するべきかはタスクの目的に依存して決めることになる.機械翻訳の問題では,適切な翻訳(訳語/訳句)が選択できればよく,単語の多義はその翻訳の異なりとして定義できる.機械翻訳における単語の多義性解消の方法,つまり,訳語選択...
V29N01-04
\label{sec:introduction}人間と日常会話などの雑談をおこなう雑談対話応答生成システムは,医療や教育をはじめとした様々な分野で注目され\cite{Litman2016:UsingConversations,Addlesee2019:CurrentChallenges},研究開発が活発におこなわれている.特に近年,深層学習技術の発展を背景に急速に研究が進行した深層学習ベースの雑談対話応答生成システムは,対話履歴に対して流暢な応答を生成できることが知られている\cite{Zhang2020:DIALOGPT,Adiwardana2020:Humanlike,Roller2021:Recipes}.しかし,人間と自然な...
V06N06-01
電子化されたテキストが世の中に満ち溢れ,情報洪水という言葉が使われるようになってからかなりの歳月を経ている.しかし,残念ながら,我々の情報処理能力は,たとえ処理しなければならない情報が増えたとしても,それほど向上はしない.そのため,自動要約技術などにより,読み手が読むテキストの量を制御できることが求められている.また,近年情報検索システムを利用する機会も増えているが,システムの精度の現状を考慮すると,ユーザは,システムの提示した候補が適切なものであるかどうかをテキストを見て判断せざるを得ない.このような場合,要約をユーザに提示し,それを見て判断を求めるようにすると,ユーザの負荷を減らす支援が行なえる.自然言語処理の分野では,近年頑健...
V08N03-07
日本語とウイグル語は共に膠着語である.膠着語には,概念などを表し単独で文節を構成することが可能な自立語と,単独で文節になることはなく,自立語に接続して,その自立語の文中での役割を示したり,自立語に新たな意味を付加する付属語の区分がある.膠着語では,付属語がよく発達しており,言語構造上重要な役割を果たす.これらの特徴は,日本語とウイグル語だけでなく,韓国語,トルコ語,モンゴル語などのアルタイ語系に属する言語に共通するものと考えられている\cite{JPORG}.このグループに属する言語間の機械翻訳については,グローバル化の流れの中で多言語間機械翻訳の重要性が高いにもかかわらず,これまでほとんど行われておらず,日本語と韓国語との翻訳につ...
V24N04-01
近年,対話の内容を特定のタスクに限定しない自由対話システムの研究が盛んに行われている\cite{Libin:04:a,Higashinaka:14:a}.対話システムの重要な要素技術の1つにユーザの発話の対話行為の自動推定がある.対話行為の推定は自由対話システムにおいて重要な役割を果たす.例えば,対話行為が「質問」の発話に対しては知識ベースから質問の回答を探して答えたり,映画の感想を述べているような「詳述」の発話に対しては意見を述べたり単にあいづちを返すなど,対話システムは相手の発話の対話行為に応じて適切な応答を返す必要がある.対話行為の推定手法として機械学習を用いた手法が既に提案されている\cite{milajevs:14:a,i...
V08N03-03
統計情報に基づく自然言語処理では,訓練データとしてのコーパスの影響は非常に大きい.形態素情報や品詞情報等の情報を付加したコーパスを利用することで処理の精度の向上や処理の簡略化等が期待できるが,情報を付加する段階での労力が大きく,その精度に結果が大きく左右されるという問題がある.生コーパスをそのまま利用する場合には,コーパスの取得が容易であるため,目的に合ったドメインのコーパスを大量に入手できるという利点がある.しかし,生コーパスは未登録語や未知の言い回し,非文とされるような文の出現等を多く含むことがほとんどであり,これらが処理の精度の低下を招くという問題がある.コーパスから得た情報を利用するようなシステムの場合,処理の基本は意味のあ...
V30N02-18
本論文では,自然言語処理システムの実社会応用の具体例として,筆者が行った2020東京オリンピック参加者名簿の翻訳支援の経験を報告する.実社会応用では,「ことば」が社会的存在であることを考慮したシステム設計・運用が重要となる.オリンピック参加者名簿の翻訳とは,国際オリンピック委員会(InternationalOlympicCommittee,IOC)から提供される名簿に含まれる,ほぼすべての参加者の氏名(アルファベット表記)に,カタカナ表記の訳を付与することである\footnote{氏名を漢字で表記する国・地域の参加者を除く.具体的には,日本,中国,韓国,香港,台湾.}.このタスクは,技術的にはトランスリタレーション(translit...
V12N03-04
label{sec:introduction}\smpt{結合価辞書の重要性}用言の下位範疇化構造や選択制限などの詳細な情報は、自然言語処理の様々な分野で利用されている。本稿では、これらの詳細な情報を結合価情報と呼び、結合価情報を持つ辞書を結合価辞書と呼ぶ。また、結合価辞書のエントリを結合価エントリ、あるいは単にエントリと呼ぶ。結合価辞書を用いたシステムには、機械翻訳システム(\altje\citep{Ikehara:1991}、PIVOT\citep{Nomura:2002j})や自動要約システム(CBsummarizer\citep{Nomura:2002j})、言い換えシステム(蔵\citep{Takahashi:01})、ゼ...
V15N02-01
label{sec:hajime}自然言語処理においては,タグ付けや文書分類をはじめとするさまざまな分類タスクにおいて,分類器が出力するクラスに確信度すなわちクラス所属確率を付与することは有用である.例えば,自動分類システムがより大きなシステムの一部を構成し,自動分類結果が別のシステムに自動入力されるような場合に,クラス所属確率は重要な役割を果たす.この例として,ブログ記事に対してさまざまな観点から付けられたタグ(複数)をユーザに表示するシステムにおいて,タグを自動的に付与する際に,クラス所属確率が閾値より低いタグについては排除することが有効な場合がある~\cite{Ohkura06}.同様に,手書き文字認識システムによる分類結果が...
V30N02-04
文法誤り訂正とは,与えられた文章中の文法誤りを文法的に正しい表現に訂正するタスクである.主に語学学習者が書いた文章を対象とし,自然言語処理の教育応用における主要タスクのひとつとなっている.これまでルールに基づく手法\cite{schneider-mccoy-1998-recognizing-syntactic}や言語モデルに基づく手法\cite{gamon-etal-2008-using},分類器に基づく手法\cite{dahlmeier-ng-2011-grammatical}などが開発されてきた.近年では機械翻訳に基づく手法\cite{brockett-etal-2006-correcting}が盛んに研究されている\cite{...
V28N01-04
本稿では『分類語彙表』\cite{WLSP-2004}に対する反対語・対義語情報付与について論じる.分類語彙表は単語の意味をその語義に基づいて分類している.分類語彙表の初版の書籍は1964年に出版され,増補改訂版の書籍が2004年に出版された.この増補改訂版をもとにしたCSV形式のデータベース,分類語彙表増補改訂版データベース(以下『分類語彙表DB』)が公開されている.同データは区切り記号を含めて101,070エントリからなる.%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%table1\begin{table}[b]\input{03table01.tex}\caption{分類語彙表の構造}\label{tbl...
V31N02-12
やさしい日本語とは,語彙や文法に制限を加えた,外国人や高齢者など多くの人にとってわかりやすい日本語のことである.現在の日本では,多様な国籍の在留外国人約300万人\footnote{\url{https://www.moj.go.jp/isa/content/001381744.pdf}}が生活しており,このような日本語非母語話者に対する情報伝達の手段として,やさしい日本語の活用およびやさしい日本語へのテキスト平易化の技術\cite{alva-manchego-etal-2020-data}が期待されている.テキスト平易化とは,文の意味を保持しつつ,難解な文を平易に言い換えるタスクのことである.テキスト平易化は,非母語話者\cite...
V20N03-04
2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災範囲の広大さは記憶に新しい.この震災では,既存マスメディア(放送・新聞・雑誌等)だけでなく,Twitterなどのソーシャルメディアによる情報発信が盛んに行われた\cite{Shimbun,Endo2}.しかしながら,大手既存メディアは被災報道を重視していた.実際,被災者にとって有用な報道として,災害時でも乾電池で駆動可能なラジオ,並びに,無料で避難所等へ配布された地元地方紙が役に立ったことが,\cite{Fukuda}の被災者アンケートで調査報告されている.この様な震災初期の状況の理由として,阿部正樹(IBC岩手放送社長)は,震災発生当時の被災地において,テレビは「テレビ報道は系列間競...
V09N05-03
ある文字列を$k$回以上含むドキュメント数には,文字列の意味に関連する性質がある.この論文では,このドキュメント数を重複度$k$のドキュメント頻度と呼び,特に$k$を指定しない場合には,重複条件付きドキュメント頻度と呼ぶことにする.図\ref{dfn-sample}は,332,918個の日本語アブストラクトの本文を対象に,様々な文字列に対し,$k$を変化させて,重複度$k$のドキュメント頻度を計測したものである.文字列が意味のある単語の部分である場合には,$k$の増加にしたがっても,文書数の減少は緩やかである.たとえば,「メ」「メデ」「メディ」「メディア」などについては,$k$が一つ増加するごとに,ドキュメントの数が半減する傾向が観...